日本経団連という無能、日本経済における癌

また頭にくる新聞記事が出てきたので鬱憤をシェアすることにする。

経団連と大学は新卒の学生の通年採用を広げる方針を決めた。3月に説明会が始まり、6月に面接が解禁される今の「就活ルール」が形骸化する中、就活は一段と前倒しになる可能性がある。両者にはもう一つ、学業について合意するポイントがある。「卒業要件の厳格化」だ。学業で成果を残す学生が評価されるようにする狙いが込められている。

まったくもってナンセンス。大学の卒業要件についてなぜ経団連が口出しするのか。経団連は、倫理憲章という糞を何十年も押し付けて、シューカツ(笑)とかいう虚構のお膳立てをしてきた自覚があるのか。そもそも経団連ごときに学業を語る資格があるのか。経団連というのは無能の互助会みたいなもので、時代遅れのポンコツ企業が相互監視に作ったようなカルテル組織でしょう。経団連ごときが大きな顔をしてのさばるから、GDPが中国にトリプルスコアで負けるんです。現代日本に脈々と流れる無能文化の一助となった経団連は、まず反省をしてほしいし、今後は大学教育に余計な口出しをするべきではないと切に思います。

3年生までの成績で学生を評価する今の就活では、学生時代に身につける能力について中途半端な評価しかできない。経団連の中西宏明会長はこれまで「きちんと勉強した学生を企業が採用するのがゴールだ」と訴えてきた。報告書でも「高い専門性を求めるなら、卒業論文や研究の成果も重視すべきだ」とする。

「高い専門性を求めるなら、卒業論文や研究の成果も重視すべきだ」・・・そうだね。で、卒論の中身を評価できる採用担当者がどれくらいいるんですか?専門性の高い論文というのは、一言では説明できないものなのですよ。せっかく説明してあげても、理屈っぽいとかいうくだらない理由でバツをつける、そんなアホ人事を増やしたのがまさしく経団連とその加盟企業なのです!

経団連は18年12月に公表した大学の教育改革についての提言で、文系と理系の境目は時代遅れだとした。すべての学生が数学を学び、理系の学生も文化や歴史などの教養を深めるべきだとしている。人工知能(AI)やビッグデータを使う新しいビジネスモデルに必要な人材を、大学で育ててほしいとの思いは強い。

考えているようで何も考えていない発言!さっき言ったことと矛盾してませんか。経団連の頭の中には糞かウジ虫でも詰まっているのかな。何を学んだかよく分からない学生が欲しいなら、早稲田の国際教養からでも採用すればいい。中西さんの仰っていることは、アインシュタインに文化・歴史を教えましょうみたいな話で、減点主義の延長線上でしかなく、結局専門性など何も求めていないというのがよく分かる。日本文学専攻の学生にAIを教えて何になるんですか?大学が経団連の妄言を真に受けて、カリキュラムを変えたりすれば、大学教育の質はさらに迷走するだろうし、4年間で何を学んだのかよく分からない学生が大量に生産される。経団連はその責任を取ってはくれません。文系と理系の境目が時代遅れなのではなく、経団連の頭の中身が知恵遅れなのです。

「自ら問題を見つけ、解決する力を伸ばす体系に教育を改める」。中西氏は3月のインタビューでこう語った。横並びの一括採用が時代遅れになった今、大学も従来型の人材育成ではおかしい。経団連と大学が合意した通年採用の拡大は、大学に教育改革を求めることになる。

自ら問題を見つけ解決・・みたいなのはもう何十年も唱えられている陳腐すぎる文句。大学教育は十分にその責を果たしてきたし、そうでなければ研究なんてできません。じゃあなんで実業界にそういう人材がいないんでしょうね?それは経団連をはじめ日本の糞企業が才能を食いつぶしているからですよ。課題発見と解決ができる優秀人材も、3年は雑巾がけさせるパワハラ体育会系の環境に放り込まれれば、すぐ無能になりますって。自分とこの加盟企業の企業風土を省みずに、大学教育に余計な圧力をかけるなど、まったくもって経団連ポンコツです。

www.nikkei.com

日系アセマネに就職するまでに知っておきたかった10のこと(後編)

前半でネガティブなことを言い過ぎたので、後半は少し良いことも書いていきたいと思う。

その6. バカは少ない職場だよ

日系のアセマネには馬鹿は殆ど居ないので、賢い人と仕事したいという方には良いだろう。総合職の学歴で言うと、東工一橋が非常に多い印象で、他には理系修士早慶、あとなぜか横国・MARCHも多少居る。稀に電通大武蔵大学や成蹊大なんかも見かけるが、きっとアセマネに強いゼミかコネか何かがあるのだろう。逆に言えば東大・京大は殆ど採れていないし、地理的な理由で関東の大学に集中しているのだが。職場にも何となく知的な雰囲気は漂っていて、難しい金融工学やプログラミングの本を並べている衒学的な人も多い(そんな知識は業務にほとんど必要ないのだけどね)。したがって職場の治安も非常に良く、紳士的な方が多い(親会社からの出向で変な奴は混ざっているが、それでも大馬鹿者はアセマネには送られてこない傾向にあるようだ)。メガバンクとか証券に就職すると、支店で馬鹿な上司や客を相手にしないといけないケースもあると思うので、そういうリスクを避けたい人にはアセマネはぴったりの職場だろう。

その7. 基本的に儲かっている業界だよ

資産運用のビジネスモデルは、運用残高に対して信託報酬(概ね年0.5%~2%)がチャリンチャリンと入ってくる、いわゆるストック型のビジネスである。運用の成果は信託報酬額には影響しないケースが日本では殆ど(海外であれば成果報酬で運用益の20%というような設定がメジャー)。運用は基本的にマザーファンド内で行うし、業務プロセスも基本的にシステム化されているから、運用残高が増えても必要となる人員はそれほど増ず、何かを仕入れるわけではないので費用も少ない。つまり少人数で利益率が良くまわせて、安定的なストック型で、しかも運用成績は問われない報酬体系なのである。
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上のグラフを見てほしい。これは私が独自にまとめた主要アセマネ各社の従業員あたり当期純利益額である。そして比較のため、日本の超大手企業のそれも計算した。驚くべきことに、野村アセットマネジメントでは1人あたり2,700万円も利益をあげている。この中では一番低い三菱UFJ国際投信ですら、1人あたり1,400万円もの利益があがっている。これは当期純利益だから、給料とか税金を払った上で会社に残るお金がこんなにあるということになる。比較の超大手企業に目を向けてみると、トヨタ三菱商事の従業員あたり当期純利益は、アセマネの半分程度でしか無い。東海道新幹線というドル箱をかかえるJR東海でやっと勝負になるかどうかというところである。

儲かっているかどうかは、就職する会社を選ぶ上では非常に重要な視点になる(恥ずかしながら私は社会人になるまでそんなこと考えたこともなかったのだが)。儲かっている会社は社風も自然におっとりしたものになるし、苦しい会社はブラック化する場合も多い。アセマネ各社であれば、基本的に残業代は全部出るだろうし、労働時間も短く、経営も安定している。就職先としてこんなに楽なホワイト企業は、今どきそうそう無いと思う(今後ずっとそうである保証はもちろん無いけどね)。

その8. 東京都心でドヤ顔で働けるよ

アセマネ各社は東京の中心(丸の内とか日本橋、六本木など)で働ける上、転勤も殆どない。転勤があったとしても、大阪とか名古屋の営業所で、ど田舎に飛ばされるということはありえない。都心の一等地で一生骨を埋めるなどできるのは、世間ではほんの一握りだろうから、この点においても恵まれているとしか言いようがない。あなたも昼はまったり働いて、夜は6時から銀座コリドー街に繰り出すような、ワークライフバランスを実現してみてはいかがだろうか。

その9. 長期休暇がとれるよ

アセマネというよりは、金融機関全てに言えることだと思うが、5営業日の有給連続休暇が半期に1回もらえる(会社によって制度は異なる)。5営業日ということは、土日をつなげれば9日間だ。これだけあれば海外旅行も余裕を持って楽しめる。連続休暇というのは、融資先への癒着とか横領を防ぐための内部統制の一環で行われるものと聞いているが、アセマネにおいてそういう不正の余地は殆ど無いので、単なる美味しい福利厚生の1つとなっている。海外旅行好きにおすすめ。

その10. 資格の勉強ができるよ

この業界にいれば、大抵の人が証券アナリスト資格を目指して勉強している。日本の証券アナリスト資格(CMA)であれば、入社後数年以内には取る方が多い(私も入社2年めに合格した)。国際資格のCFAを狙っている人も多くて、こちらは数年頑張って取るという感じだろう(これは私は持っていない)。狭い業界なので、CFA受験会場に行くと見知った顔が沢山見られるということもあるらしい。同じ資格を目指している人が周りにいるというのは、モチベーションを保つには非常にいい環境なのではないだろうか。

結局何が言いたかったのか

日系のアセマネは、仕事にやりがいとか意味を見出すために目指すのは、正直言ってあんまりおすすめしない。やりたい仕事(多くの場合は運用業務なのだろうが)ができるとは限らないし、アセマネに入れるくらいのポテンシャルがあるなら、きっと他の業界でもっと活躍できると思う。しかし、あなたが仕事に求めるものが給料とかワークライフバランスであるならば、アセマネ業界はぴったりであると言えるだろう。これはあなたの生き方なので、よくよく考えて決めてほしい。私は前者だったので、給料よりもやりがいを求めて外に飛び出して、今それなりに苦労している(後悔はしていないけどね)。

日系アセマネに就職するまでに知っておきたかった10のこと(前編)

そもそもお前は誰なの

投信とか投資顧問の運用を行うアセマネ※(アセットマネジメントの略)の1社に新卒総合職で入社。3年くらいITとか企画をやって退職。今は国も業界も違う場所で働いている。
もともと運用希望だったけど運用に行けなかった負け組。負け組の視点から、後継が大切な新卒カードを有効に使えるように、既に去った業界のことを未練がましく書き残す。

※ここでいうアセマネとは、あえて就職偏差値(笑)を持ち出せばこの辺の会社のことを指す(就職偏差値は、入社難易度の指標としてはそこそこ的を得ていると思うが、自分の就く仕事を難易度に委ねることほど馬鹿げていることも無いと思う)。不動産アセットマネジメントはここでは含めない。

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アセマネ就職偏差値(笑)

その1. 運用に行けるかどうかは運次第だよ

この業界を志すからには、多かれ少なかれ運用に興味がある方が多いだろう。私もそうだったが、運用部門に行けるかどうかは、運・実力・会社の方針がうまく噛み合わさらなくてはならない。若手を積極的に運用に放り込んで育てる方針の会社(聞くところでは野村AM、ニッセイアセット、DIAMなどはその傾向がありそう)もあれば、若手のうちは基本的に運用させてくれない会社(銀行系にはその傾向が多そう)もある。ファンドマネージャーは、親会社から出向してきている人も多いから、アセマネ業界に入れるくらいの頭がある人ならば親会社に就職したほうが多様な経験もつめて良いという考え方もある。それに「運用部門」の中にも色々あって、運用企画とか委託運用とかパッシブというのは、どちらかというと事務の色が強くて、おそらく皆さんがやりたい運用ではないと思う。日系から外資系のアセマネに転職する人が多いが、そうすると給料は良くなるが、より運用からは遠ざかることに注意(日本拠点ではあまり運用していないから)。自分がどういうキャリアを築きたいのかをちゃんと考えた方が良いし、その上でどうしても運用という場合、もしかしたらアセマネ業界はあなたの答えではないのかもしれない。

その2. 同期の半分は3年で辞めるよ

とにかく若手がどんどん辞めていく。びっくりするほど辞めている。それは決して会社がブラックだからではなく、人材がそこそこ優秀で、待遇の良い受け皿もふんだんにあるからである。辞めていく若手のうち、ざっと半数は同業他社(外資系アセマネ、日系アセマネ)、残る半数は別の業界(投資銀行やコンサル、監査法人などもいた)に行く感じだ。アセマネは新卒でも割と少数精鋭採用で、総合職では多くても1社20人くらいの採用だと思われるし、それがすぐに数人にまで減るから、残り続ける人は割と寂しい思いをするかもしれない。

その3. 事務作業が基本の会社だよ

事務を軽視する人は、アセマネでやっていくのは厳しい。というのも日々のオペレーションが必ず発生する(基準価額が出ないということはあり得ない)上、ミスが絶対に許されない業界だからである。それはディスクロージャーみたいな開示系の部署でもそうだし、運用やトレーディングでも、伝票整理とか約定精査は全くもって事務の世界である。あと計理部門というのがあって、ここは基準価額を計算して公表している投信の要みたいな部署になる(当然ながら、その業務のすべてが事務)。では事務とは何か?事務とはつまり、全部印刷して蛍光ペンでチェックマークをつけて、それを上席者2人が再鑑するなどという世界である。一言一句間違えてはならず、数字も1円単位で合わせにいくのが当たり前。何かミスがあれば蜂の巣をつついたような騒ぎになる。求められるのはマニュアル通りの仕事を速く終わらせることであって、そこにクリエイティブさは必要ない。総合職でも、ディスクロージャーに配属されると、一般職のおねえちゃんと似たような事務仕事をするとかはザラ。向き不向きがあるが、細かいことにこだわりが無い人、分からないことを聞けない人、些細なミスはもみ消しても良いと思う人はまず向いてない。他の業界でもっと羽ばたけたはずの人材が、そういう事務仕事で人生を塗りつぶすのはもったいないと思うときもある。日系アセマネでは、基準価額が1円でも間違っていると騒ぎになり、場合によっては補填対応とか金融庁投信協会報告とかいうおおごとになってしまう(例えば、基準価額が誤って低く出たときに解約があったりすると、その差額を弁償しないといけなくなる)。海外に目を向ければ、ある程度の基準価額の誤差は許容して放置するみたいな会社も多いが、そういういい加減な会社のファンドを組み入れていたりする(ファンド・オブ・ファンズ)と巻き添えを食らって大騒ぎになることもしばしばである(個人的に、そこまでやる必要があるのかなあとは思う・・・)。

その4. グループ内での地位は低く出向者にあごで使われるよ

日系のアセマネは基本的に主要金融グループに属しているため、どこも親会社の天下り牧場と化しており、その親会社から部長やら課長で出向してくるオジサンたちがあなたの上司になる可能性が高い。オジサンは基本的には親会社に早く戻りたいから、投信などみじんも興味が無いくせに何か目立つようなことを仕掛けようとして、しょうもない施策を立てたりパワハラを始めたりと、プロパー社員からしたら鬱陶しいことこの上ない。オジサンたちは基本的に子会社を見下しているので、親会社の文化を持ち込んだり社内政治を始めたりとろくなことをしない。プロパー社員は出向者に対して、もちろん口に出して言わないが、思うところある方が多いのではないかと思う。アメリカでも大手金融グループに属している運用会社は沢山あるが、グループ内の地位はむしろ高いと聞く。でも日系では決してそうではないことをよく理解されたし。森金融庁長官の掛け声で、資産運用の重要性が高まりつつあるとはいえ、金融グループ内の規模で比較すればアセマネの利益が占める割合など1%とか2%のものであるから、いつまでたっても使えない中年のゴミ箱を抜け出せないのは仕方のないことかもしれない。

その5. 3年もいれば茹でガエルになるかもよ

アセマネにいれば、確かにどこの部署であれそれなりの専門性は身につく。身につくが、その専門性というのは基本的には「日本国内(日系・外資系)」で「資産運用業務」を行う場合のみに役立つものばかり。他の業界でも通用するだろうと考えてはいけない。グローバルな要素もほとんど無い。グローバルと言えば、委託運用(海外の運用会社に運用を丸投げする)が辛うじて海外との接点が多い部署になるが、再委託する立場はしょせんお客様扱いなので、英語ができなくても余裕でやっていける。普通の会社と同じように総務・法務・人事みたいなのもあるが、こういう場所は新卒者はあまり配属されない会社が多いのではないかな。営業ももちろんあるが、決まった販売会社に訪問して言われたことを持って帰ってくるのが仕事であり、そこに証券とか商社のようなハードシップさは無い。運用部門でマクロとか個別企業の分析できるようになるのは市場価値がそれなりにあるとは思う。だけど投資銀行で財務モデリングをやったりとか、商社で商流をいちから作り上げるほうが、よっぽど汎用性も夢もでっかい人生になるのではないかな。アセマネで仕事をしてしまうと、アセマネという狭い狭い業界の中でしか通用しない、業界と一蓮托生の人生が決まってしまうような気がする。決めるのはあなただが、私はそう思う。


後半に続く。

USCPA AUD試験受験体験記(2019年1月)※長文です

AUD概論

2019年1月受験(BECと同日受験)で、AUDには85点で1発合格していた。自分の回ではテストレット1が圧倒的に難しく、テストレット2は明らかに簡単(ちなみにBECでも同じことを書いた)。テストレット2が難しくないと受からないというのがUSCPAの通説なので、これはもうだめかと思ったが、蓋を開けてみればまずまずの点数で合格していた。近年のUSCPA試験ではテストレット間の難易度変化は気にしなくて良いのかもしれない。Simulation問題も文章量がとにかく多いので、気持ちが折れそうになったが、最後の1秒まで粘って解き切ることが絶対重要。

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私には特に監査に関する経験や知識は無く、ずぶの素人として学習を開始。日本でもアメリカでも、監査論を教えてもらえる大学や学部は、ごく一部に限られるのではないかと思っている。ちなみに私が学士で通った筑波大学では、会計に関する授業は当時で1~2個しか無く、監査論の授業を取るチャンスも無かったのである(当時からCPAには興味があって、かなり調べていた)。就職してからは、IT部門として、PwCあらた監査法人の先生に言われたとおりに資料を渡したりとかしたことは多少あったが、そもそも何の手続きとしてそういうことをしているのかなどの理解は全く持ち合わせていなかった。

勉強方法としては、まずプロアクティブの講義を一通り聞いた。プロアクティブの佐々木先生は、話が面白い。その中でもAUDは一番面白い部類に入るのではないだろうか?内部統制を蕎麦屋のおばちゃんに例えて説明してくれるのが、笑えたし、理解を深める助けになったのではないかと思う。一通り佐々木先生の講義を聞いて笑った後は、プロアクティブのテキストの要点をさらにまとめた、自分専用のまとめノートを作ることにした。このまとめノートは、なかなか作るのに骨が折れたが、AUDに関しては作ってよかったと思っている。時間をかけて作ることで愛着もわいてきて、何度も読み返して知識の定着に役立った。プロアクティブのテキストで足りないものとか、問題演習で間違えたものの解説などは、ノートの後ろにどんどん追加していくことで、最終的にかなりの大作に育った。AUDを勉強した期間としては、全部で5ヶ月といったところか(途中出願手続きに時間がかかったこともあって、何もしない中だるみ時期もあった)。問題演習では、GleimのMega Test Bankを使った。Gleimを選んだ理由は、安くてボリュームがあったのと、むずかしめに作られているという評判を聞いたからである。プロアクティブでも演習問題はたくさん用意してくれているが、UI(ユーザーインターフェイス)が気に入らなかったので使わなかった。GleimやBeckerなら、基本的に本試験と同じUIで問題演習できるので、お金に多少余裕がある人であればそっちを使うことをおすすめする。以下、長文となり申し訳ないが、私なりのAUD試験攻略のツボを記しておく。

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自作ノートの例(ご参考)

監査と内部統制

AUDを勉強するまでは、会計監査というのは、1つの誤謬も漏らさずキャッチする性質のものだと理解していた。しかしAUDを勉強してみて、そうではないということがまず分かった。現実的に考えてみれば確かに当然の話しで、1個1個のアカウントまで軽重つけずに精査していたのでは、ただでさえ会計士が人手不足の中、時間がいくらあっても足りないし期日に間に合わないだろう。だが世の中には時に、会社ぐるみで粉飾や違法行為に手を染め、積極的に騙しにかかってくるような本当にやばい会社というのも存在する。だから、その会社がやばいことをしていそうかどうか、それによって監査の軽重や力点は変わってくる。その見極めに使われるのが、内部統制である。つまり、内部統制がしっかり設計されていて、会計士の目から見ても正しく運用されているのならば、その会社のやっていることを大体信じても大丈夫だね(だから血眼で精査しなくても良いね)と考える。だから会計士は、その会社の内部統制の出来を見て、監査リスクが一定になるように監査の方向性を決定する(AR=IR×CR×DRの式)。監査と内部統制は切っても切れない関係にあるし、だから内部統制はどこの会社でも重要性が叫ばれているのである(それが本当に良いことなのかどうかは分からないが、現代の監査論ではそういう立て付けになっている)。この考え方が、AUD試験の根幹となる。

監査の種類・手続き

AUD試験といっても、取扱うのは、実は監査(Audit)だけではない。Audit/Review/Compilation/Preparation/Attestationなどの色々な種類が出題されて、沿うべき基準と手続きが少しずつ異なってくる。また、上場しているかしていないかでも、基準や手続きがが異なってくる。なので理想を言うと、監査の種類によって異なる手続きを俯瞰できるような、一覧表があったほうが本当は良いと思う(私には結局作れなかったが・・・)。頻出論点の例を挙げると、SSARSに従う非上場企業のReview手続きでは、内部統制の理解は求められない。しかしこれが上場企業となるとSOX法・PCAOB基準となり監査と内部統制監査がマストになってくる。PCAOBかGAASかで、レポートの文言もかなり違ってくるので、差をしっかり意識する必要あり。私が受けた実際の試験のリサーチ問題で、同じ論点ではあるがPCAOBかAICPAかが分かれるような引っ掛け問題が出たので、上場・非上場の違いはとても重要。

監査の流れと意見

監査手続きを定めた基準がGAASで、会計基準GAAPであり、監査というのは基本的にその両輪で見ていくことになる(場合によって、異なる基準を使うことはありえるが、監査手続・会計基準の両輪で見るというのは一緒)。だから不備が発見された場合には、どの部分で不備があるのかで出す意見は変わってくる。例えば、十分な監査手続ステップを踏めなかったということであれば、それはGAASに関する不備だから最悪Disclaimerになるが、数字が間違っているのにマネジメントが修正してくれない場合は、GAAPの問題としてAdverse意見ということになる。どういうケースで何の意見を出すのか、このパターンをしっかりと理解していることがAUD試験では重要になってくるものと思われる(事象の軽重によってQualifiedかDisclaimerなのかボヤッとしていることもあるので、なかなかこれが難しい)。

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自作のフローチャート(ご参考)

USCPA BEC試験受験体験記(2019年1月)※長文です

BEC概論

2019年1月受験(AUDと同日受験)で、BECには86点で1発合格していた。自分の回ではテストレット1が圧倒的に難しく、テストレット2は明らかに簡単(1では計算も多くて3問くらい適当にクリックする羽目になったが、2では単語定義を問うような問題ばかり)。テストレット2が難しくないと受からないというのがUSCPAの通説なので、これはもうだめかと思ったが、蓋を開けてみればまずまずの点数で合格していた。AUDでも似たような感覚があったので、近年のUSCPA試験ではテストレット間の難易度変化は気にしなくて良いのかもしれない。Simulation問題も文章量がとにかく多いので、気持ちが折れそうになったが、最後の1秒まで粘って解き切ることが絶対重要。

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私にはMBAかつITのバックグラウンドがあったこともあり、BECについては何とかなるだろうとタカをくくって後回しにしていた。ところが試験1ヶ月前ごろから準備をしはじめて感じたこと―もちろんバックグラウンドが助けになったことは間違いないが、かといってBECが楽勝だったかといえば決してそうではなかったというのが実感である。というのも、BECで問われる知識は広く浅くが基本なので、知らない用語もたくさん出てくる上に、試験では独特の形式・定義で問われることがあるからである。独特の問われ方というのはつまり、紛らわしいチョイスであるとか、自分の感覚とは微妙にズレた用語定義、丸暗記していないと解けないような問題とかが出てくる。MBAであるとかITの実務経験というのは、思考力を要する問題には役に立つが、BECで問われる問題ではそれほどの思考力が要らない代わり、基礎事項を正確に記憶すること(そしてBEC試験の意に沿う通りの定義で覚えること)が重要になってくるのではないかと考える。

勉強方法としては、Gleimの紙テキストブック(GleimのMega Test Bankを買ったらなぜか無料で送られてきたもの)を使うことにした。プロアクティブの講義も1周聞いてみたが、Gleimにしか載っていない事項が多く、広く浅くのBEC試験ではGleimの方が良いと思ったからである。一通りの事項が載っているなら、GleimでもBeckerでもテキストは何でも良いと思う。繰り返しになるが広く浅くの試験なので、カバーされている事項は多いほうが良いが深入りはせず、重要単語をマーカーしたりその横にボールペンでノートを書くにとどめた。BECについては自分用のまとめノートは作らなかった。その理由としては、あまりに広範囲で散逸的な試験のため費用対効果が薄いと思ったこと、将来的に読み返すこともきっと無いだろうと思ったためである。以下、長文で申し訳ないが感じたことを各論で記す。

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Gleimなら問題演習は本番そっくり

内部統制

BECでは、内部統制(特にCOSOフレームワーク)が頻繁に問われる。ビジネスと言うよりもはやCOSOの試験ではないかと思うほど、COSOの事項はBECの合格に欠かせないものと考えられる。私はAUDを先行して学習していたが、私の感覚ではBECとAUDでオーバーラップする知識はあまり無かった(もちろん、AUDを勉強したことでBECの内部統制を理解する助けになったことには間違いない)。というのも、AUDではCOSOフレームワーク(立方体で図示されることが多い)単体はそこまで深掘りせず、監査の種類とか手続きに力点を置くからである。だから、AUDをやっていればBECの内部統制が大丈夫かといえば決してそうではない、BECにはBEC用の勉強が必要だったというのが率直な感想。

経済学

BECで問われる経済学の知識は、驚くほど浅い印象を受けた。私は日本の証券アナリスト(CMA)も持っているが、その経済学パートを更に5分の1に薄めたような感じがした。配点も低いので捨ててしまっても良いとは思うが、ミクロでは需供曲線と弾力性、マクロではGDP計算の数式とか乗数効果くらいがわかっていればBECでは大丈夫だと思う(ビジネスマンとしてそんなことで良いのかという気持ちはあるが、BECのレベルはそれが実情)。

ファイナンス

ファイナンス理論は、CAPMとか債券の基礎事項、配当割引モデル、レシオ、NPV等が出る。日本の証券アナリスト(CMA)の証券分析パートを3分の1に薄めたような印象。基礎的な事項がわかっていれば大丈夫だと思うが、経済学と違ってファイナンスは捨てるわけにはいかない印象。割引率の考え方が全ての根底にあるので、ファイナンス初学者の場合はそこをまず押さえれば、あとは丸暗記でも良いと思う。

IT

ITの出題量は、COSOに並んでBEC試験の多くを占める印象。ITは内部統制と切っても切れないという考え方が、それだけCPAの試験でITが多く問われる理由だと思う。したがって、ITといっても公認会計士としての目線・内部統制目線で答えてあげることが重要になってくる。ITのバックグラウンドがある人であっても(むしろITのバックグランドがあるからこそ?)、BECのITで苦戦しかねない理由がここにある。自分の理解とは微妙にズレた形で用語が定義されていたり、情報工学の学位を持っていても聞いたことが無いコンセプトが出てくることに注意。一例で言うと、第1世代~第5世代でプログラミング言語を分類するとかいう考え方がそれにあたる。私が無知なだけかもしれないが、そういう考え方はBECをやるまで知らなかった。そのモデルだと、CとかJavaは全部一緒くたに第3世代に入るらしいが、ITの人間は普通そういう考え方はしないものなのである(Cの方が低レイヤー、あるいはオブジェクト指向か否かで普通分けるし、世代というより適材適所で使うべきものとして考える)。だがBEC試験に合格したいのであれば、BECが決めた形で覚えて回答してあげないといけない。悲しいことだが、BEC試験では公認会計士としての共通知識を問うているのであって、あなたの考え方は問うてないのである。このギャップに私はかなり苦しめられた。

その他ビジネス事項

材料の発注とか、資金繰り、支払いサイト(例えばネット30)のような知識が問われる。MBAの授業で習ったこともあるが、実務経験も無いし、もう忘却の彼方にあったような知識。早期支払割引のコストなど、初めて知るような内容も多かった。なぜそういう数式になるのか理解できないこともあったが、下手に詰まらずに、そういうものなのだと暗記で乗り切ることにした。

管理会計

個人的には苦手な分野だったが、比較的よく問われるので捨てるわけにはいかない。配賦基準とか固定費と変動費だとか、MBAとか簿記2級でやったことがあるのは間違いないが、とにかく苦手意識の高い分野だった。管理会計について苦手な私から言えることは少ないが、MCQよりはSimulation問題で多く問われるので、思考できるレベルまで学習しておかないと芋づる式に落としてしまう可能性もある怖い分野。

Written Communication

日本人であれば誰しもが気にするWC問題。私は特にWC専用の対策はしなかったが、BECの勉強を通じてWCでも使えるような知識を身につけることを意識した。WCというのは基本的にプロコン(Pros/Cons、メリット・デメリット)を問うてくるので、知識をインプットする際にはその方式のメリット・デメリットも考えながら覚えるようにした。実際の試験では、現金しか受け取らない商売をしているが売掛金も受け付けるようにしてはどうかとか、取締役として選ばれることによる責任は何かみたいなことが問われた(もう1問あったが、難しすぎてほぼ白紙の時間切れになったので、出題内容も覚えていない)。英語のライティング力がそこそこある前提ではあるが、そこまで恐れる必要な無いのではないかという印象(英語力が足りない場合は、メリット・デメリットが分かっていてもそれをうまく表現できない可能性あり。その場合は、トピックごとにヤマをかけて文を丸暗記するとかそういう荒療治で乗り切ることも必要になってくるかもしれない)。

米国株の執行方法を忘れやすいので日本語で整理

A market order is an order to buy or sell a security immediately. This type of order guarantees that the order will be executed, but does not guarantee the execution price. A market order generally will execute at or near the current bid (for a sell order) or ask (for a buy order) price. However, it is important for investors to remember that the last-traded price is not necessarily the price at which a market order will be executed.
成行: Market Orderは売買を直ちに行う発注方法です。この場合、必ず執行はしますが、執行価格が何になるかは分かりません。

A limit order is an order to buy or sell a security at a specific price or better. A buy limit order can only be executed at the limit price or lower, and a sell limit order can only be executed at the limit price or higher. Example: An investor wants to purchase shares of ABC stock for no more than $10. The investor could submit a limit order for this amount and this order will only execute if the price of ABC stock is $10 or lower.
指値: Limit Orderとは、特定の執行価格またはそれよりも良い執行価格で約定させる発注方法です。例えば買いの場合、Limit Priceかそれより低い価格で約定が行われます。

A stop order, also referred to as a stop-loss order is an order to buy or sell a stock once the price of the stock reaches the specified price, known as the stop price. When the stop price is reached, a stop order becomes a market order.
指値: ストップロスとも呼ぶ。指値注文が現在よりも有利なレートを指定するのに対し、逆指値は、現在のレートよりも不利なレートを指定して発注する注文方法です。市場価格に抵触した瞬間にMarket Order(成行)で発注が行われます。
A buy stop order is entered at a stop price above the current market price. Investors generally use a buy stop order to limit a loss or protect a profit on a stock that they have sold short. A sell stop order is entered at a stop price below the current market price. Investors generally use a sell stop order to limit a loss or protect a profit on a stock they own.
投資家は一般的に、リスクを限定する目的で逆指値を置きます。

www.investor.gov

今面白い変わり種の米国REITを10銘柄

(1) American Tower Corporation (AMT)
時価総額:$60.3十億ドル
配当利回り:2.0%
・主に電波塔の運営を16カ国で行う
・USにおいてはVerizon, AT&Tの5Gサービス展開をサポートする戦略
・配当性向40%を保ちつつ、今年は前年比120%の配当を予想

(2) CorEnergy Infrastructure Trust (CORR)
時価総額:$458.6百万ドル
配当利回り:7.7%
・パイプライン等のエネルギー関連インフラに投資
天然ガスパイプライン、液化ガス保管システム、海洋原油パイプラインなどを全米に保有
・エネルギー事業に必須かつ参入障壁が高い設備に重点的に投資

(3) CoreSite Realty (COR)
時価総額:$3.6十億ドル
配当利回り:3.6%
・全米にデータセンターを20物件保有。1,200以上の顧客基盤
・23%の堅調なFFO成長率

(4) Crown Castle International (CCI)
時価総額:$41.9十億ドル
配当利回り:4.0%
・全米に携帯電話向け電波塔を運営
・14%のFFO成長率、アナリストレーティングも押しなべて強気

(5) Digital Realty Trust (DLR)
時価総額:$21.5十億ドル
配当利回り:3.5%
・世界で205物件のデータセンターを運営
・設備更改のための資産売却は過去3年で3億ドルにのぼる
・13年連続増配

(6) Gladstone Land (LAND)
時価総額:$177.8百万ドル
配当利回り:4.2%
・全米に農地を所有。特にフルーツや野菜用地に注力しており、これらは価格変化がコモディティ(コーン等)に比べて穏やかと言われる
・賃料は年約9%の上昇中、収益は2013年から6倍へ

(7) Hannon Armstrong Sustainable Infrastracture (HASI)
時価総額:$1.0十億
配当利回り:6.7%
ソーラーパネル、風車などの再生可能エネルギーに投資
・特に風車の利用量が収益成長のカギとなる。またソーラーパネルもコスト競争力がつき始めている
・配当は年26%のペースで増加中

(8) Iron Mountain (IRM)
時価総額:$9.7十億ドル
配当利回り:6.7%
・世界で1,400物件のデータセンターを運営。Fortune 1000企業の95%が顧客
・2018年中はM&Aにより新興国へも進出の見込み

(9) Lamar Advertising Company (LAMR)
時価総額:$6.6十億ドル
配当利回り:5.3%
ビルボードや空港ターミナル内の広告などを保有する、全米最大規模の屋外広告企業
・北米で15万物件近いビルボード保有
プエルトリコのハリケーンの影響で収益鈍化も、中間選挙を前にした選挙広告等で巻き返す見込み

(10) Weyerhaeuser(WY)
時価総額:$27.6十億ドル
配当利回り:3.5%
・北米で森林用地を保有する最大規模の事業者
ウルグアイからは撤退し、ポートフォリオの簡素化

このページは以下の記事の和訳概要版です
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